雪のクリスマス・・・・・ 8夜
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2000年12月 海亜 作 |
クリスマスイブ
途中、コンビニの前を通り過ぎた。 私達の姿が映ってる。 恋人同士って感じ。 その事が嬉しくて顔が自然にニヤけてしまった。 『何笑ってんの?』 『何でもない。あっ、もうすぐ、そこだから。』 そして角を曲がって家が見えた。 あれ?電気点いてる? どうして?家には誰も居ないはずなのに・・・。 私は不安を感じ繋いでた手をギュっと握った。 『どうしたの?』 『いっ、家に・・・誰かが・・・。』 『えっ?』 『両親は旅行に行ってるの。だから・・・』 『大丈夫。俺がついてるんだから。ねっ。』 そう言って握り返してくれた。 『うっ、うん。』 『俺見てくるよ。』 『あっ、いい。私が行く。』 そう言って滝沢くんを残し、家へと歩き出した。 恐る恐る玄関のドアを開けた。 見慣れない男物の靴が一足。 誰?誰なのよ・・・。 そして、そっと中に入った。 ドンドン!ガタン! 何やら騒々しい物音が聞こえた。 2階の居間? 私は手にしていた傘に力を入れてそっと階段を登った。 そしてドアを開けた。 するとそこには何やら探し物をしてる人が・・・。 『おっ、お兄ちゃん!』 『おー!倫子。良かった。お前が帰ってきてくれて。』 『なっなに?どうしたの?』 『母さん達が昼食べたカキに中(あた)ってさぁ〜。 大変だったんだよ。お前に連絡取りたくても取れなくって。』 『えっ?お母さん達は?今どこに居るの?』 『病院。お前も行くだろ?』 『えっ、うっ、うん・・・。』 『なぁ〜着替えってどこなんだ?』 『あっ、そっち。』 私はお兄ちゃんと病院に行く事になった。 その事を告げようと思い急いで滝沢くんの元へ行った。 『はぁ〜、はぁ〜。ごめんね。今から・・・』 事の真相を簡単に説明した。 『うん。分かった。倫子さん大丈夫?』 『うん。大丈夫。』 『両親も酷くない事、願ってる。』 『うん。ありがと。』 『じゃぁ・・・。またね。』 そう言って歩き出した。 その後ろ姿が寂しそうで・・・切なさが込み上げてきた。 交差点を渡るまで見ていよう。そう思った。 すると・・・クルっと振り返って急いで私の元にやってきた。 『どっ、どうしたの?』 『俺、すっかり忘れてた。はい、プレゼント。』 そう言ってケーキと小さな包みを手渡された。 『あっ、ありがとう。私・・・用意してなかった。ごめん。』 『そんなのいいよ。あっ、でも・・・やっぱり貰っておこうかな。』 なにを?って思った瞬間、顔が近付いてきた。 短いけど心が篭った温かいKISS。 『おっ!今度は目瞑ったね。』 『まぁ〜ねぇ〜。学習能力ってやつ?』 『さすが〜!』 2人でクスクス笑った。 〜倫子ー!〜 玄関から兄ちゃんの声が聞こえた。 『もう・・・。』 『そんな怒んないの。』 『・・・うん。』 『じゃぁ。またね。』 『うん。』 私の事を気遣ったのか滝沢くんは走って行った。 あぁ、、、今度会えるのはいつなんだろう。 そう思いながらトボトボと家に向って歩き出した。 あっ!また携帯番号を聞く事を忘れてしまった。 あぁ・・・せっかく会えたのに。 もう、なにやってるんだろう。。。 情けなくて涙が出てきそうになった。 『どうしたんだ?』 『ううん。なんでもないよ。さっ、行こう。』 涙を拭って言った。 ―つづく―
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