雪のクリスマス・・・・・ 最終夜
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2000年12月 海亜 作 |
クリスマスイブ
そして私達は病院へ向った。 病室に入ると思ったより元気そうな2人の姿に安心した。 それから1時間も経たない内に消灯の時間。 先生の話によると明日、退院出来るらしい。 『ねぇ〜。今日の旅行は?どうなったの?』 帰りの車の中、お兄ちゃんに聞いてみた。 『それがラッキーだったんだよ。』 『えっ?なんで?』 『この雪のせいで飛行機が飛ばなかったんだ。』 『へ〜。じゃぁ、旅費全額戻ってくるの?』 『あぁ。それか正月休みに変えるか、どっちかなんだってさ。』 『ふぅ〜ん。でも、お父さんは正月、仕事だよね?』 『あぁ。どうするんだろうな。』 『正月料金の方が高いし、行った方が得だよね?』 『まぁ〜な。そん時は俺達夫婦が代わりに行くよ。なぁ?』 後部座席に乗ってる(義理)お姉さんに向って言った。 『ダメよ。今回の旅行、あんなに楽しみにしてたのに。悪いわよ。』 『やっぱダメか・・・。あ!そうだ。倫子。 お前が父さんの代わりに行けばいいじゃん。』 『えー。でも、そうするとお父さんは?正月1人になるじゃん。』 『そっか・・・。』 『ねぇ〜。私達が今そんな事言っても始まらないんじゃない?』 『だよなぁ。』『そうですよね。』 お姉さんの一言で、すんなり解決した。 午後11:00。 家の前に着いた。 『ありがとう。』 『あぁ、1人で大丈夫か?』 『うん。もう子供じゃないんだよ。』 苦笑しながら答えた。 『そっか。じゃぁ、おやすみ。』 『おやすみ。あっ、お姉さんも、おやすみなさい。』 車が角を曲がるまで見送った。 うぅ〜寒い。早く温まろう〜っと。 玄関に置きっ放しになっていたケーキを台所まで運んだ。 それからお風呂に入った。 しかし・・・怒涛のようなイブだったなぁ〜。 湯船に浸かりながら、今日の色んな出来事を思い出した。 強く抱きしめてくれた感触・・・。 冷たい、温かい、長い、短い。色んな唇の感触・・・。 その事を思い出し体が熱くなった。 部屋に入ると丁度、時計が12回鳴った。 もう、こんな時間かぁ・・・。 あっ!プレゼントの事を思い出した。 コートのポケットに手を入れた。 そして急いでリボンを解いた。 なんだろう。あっ!宝飾箱・・・。 中を開けてみた。 うわぁ〜。可愛い。 ハートのリングがペンダントトップのシルバーネックレス。 着けてみよう!と思い、それを手に取った。 でも・・・やめた。 今度会った時に1番に着けてもらおうと思ったから。 ネックレスを握り締め、その日を想像し胸が高鳴った。 そして、それをしまおうと思い箱を手に取った。 その時リングに彫ってある字を見付けた。 【LION HEART】 なんて意味だろう・・・。 あっ!私は以前、雑誌で読んだのを思い出した。 滝沢くんは、この意味を知ってるのだろうか。 もし知ってる上で私にプレゼントしてくれたのなら・・・。 キュルルルル〜 その時、お腹が鳴った。 お昼から何も食べてなかった事に気付いた。 お茶漬けでも食べようかなぁ。 でも甘いお菓子が食べたいなぁ・・・。 そう思いながら階段を降りていた。 あっ! 私は、もう1つのプレゼントを思い出した。 ケーキ〜♪ 急いで箱を開けた。 やっぱイチゴショートなのかな? そして中を覗き込んだ。 えっ?・・・あっ! 箱の横に書いてある店の名前を見た。 【wish a message】 私は急いで部屋に戻り携帯を手にした。 トゥルルルル〜トゥルルルル〜 早く!早く・・・。 部屋をうろうろしながら待った。 それ程までに高鳴る気持ちが押さえられなかった。 サンタクロース・・・ それは純粋な心の持ち主(=子供)の中に住むといわれている。 でも、子供のような純粋無垢な大人の中にも居るのかもしれないね。 ―完―
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