雪のクリスマス・・・・・ 7夜
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2000年12月 海亜 作 |
クリスマスイブ
それから私は怒涛のような質問攻撃をした。 『でっ、なんでここに居るの?』 『倫子さんに会いたかったから。』 『嬉しい!!って、そっ、そうじゃなくって・・・。』 『あ〜酷でぇ〜。』 『あっ、違うの。なんで私の住所知ってるの?って事。』 『あぁ、佳子さんに聞いたから。』 えっ?もしかして・・・ さっきの驚いた声と、あの微笑みは、この事だったのかな? 『佳子さんさ〜旦那さんとアメリカ行っててさ〜。 住所聞いたの今日だったから超〜焦った。』 『あっ!だから留守だったのかぁ。』 『なに?自宅に行ったの?』 『うん。あっ、それよりさ・・・。仕事は?もう終わったの?』 白々しく、でも恐る恐る聞いてみた。 『うん。』 『じゃぁ、今後の予定は?』 『有るよ。』 えっ?!そうなんだ・・・。 ガッカリして笑顔を無くしてしまった。 『あれ?なんでそんな落ち込んでるの?』 少し嬉しそうに聞いてきた。 『だって・・。せっかく会えたのにさぁ〜。』 『俺、別に何の予定かなんて言ってないじゃん。』 『へっ?どういう事?』 『姫をさらいに来たのでございます。』 『姫って?誰?』 『もぉー!そんな恥かしい事聞かないでくれる? さらいに来たって言ってるじゃん!』 『もしかして・・・。私の事?』 『うん。』 嬉しさのあまり声が出なくなった。 『あっ!そう言えば・・・俺、予定聞いてないけど。大丈夫だよね?』 私は意地悪してみたくなった。 『大丈夫じゃない。』 『えっ?予定入ってるの?』 『うん。』 『何の予定?』 『えっ?!えっと、え〜っと・・・。』 言葉に詰まる私。 それを見て滝沢くんは笑いながら言った。 『あれ?どうしたのでございますか?』 『あっ、そうそう、これから王子様がさらいに来るのです。』 『えっ?誰?』 『もぉー!そんな恥かしい事聞かないでくれる? さっき、さらいに来るって言ったでしょ?』 『もしかして・・・俺?っていうか俺しか居ないか。』 『あー!酷い!けど当り。』 それから私達は風船が弾けたように笑い出した。 『ねぇ〜、これからどこ行くの?』 『ごめん。まだ決めてない。』 『じゃぁ家に来ない?今日、誰も居ないの。』 『えっ?!まじ?』 と言った声が動揺している。 なんでだろう? 『うん。寒いじゃん!早く行って温まろうよ〜。』 何気なく言った。 『えっ?!うっ、うん・・・。』 更に動揺してる様子。 なんでだろう? 『さっ!行こうか。』 『あっ、うっ、うん。』 『家にはコタツも有るし、お酒も有るから温まるよ〜。 って未成年だから、飲めないか。残念。』 『あっ、なんだ、そう言う事か・・・。』 『えっ?』 『なっ、なんでもないよ。こっちの話。』 『・・・変なのぉ〜。まっ、いっか。』 そして手を繋いで歩いた。 どちらから言った訳でもなく自然に。 『倫子さんの手冷たてぇ〜。』 『冷え症なの。』 本気で答えた。 『でも、手が冷たい人って心が温かいって言うしね。』 『そうそう。って・・・あれ?なんか変だよ?』 『えっ?なんで?』 『だって、いつもなら・・・まっ、いっか。』 何気に褒めてくれたんだもん。 『あっ!ちょっと待ってて。』 滝沢くんは突然、何かを思い出したのか公園へ走って行った。 どうしたんだろう? そして息を切らせながら戻って来た。 手にはケーキの箱を持っている。 『さっき、そこの店で買ったのベンチに置き忘れてた。』 『えっ?ずっと、あのベンチで待ってたの?』 『うん。』 『私が来るまで待ってるつもりだったの?』 『うん。』 『何時間でも?』 『うん。』 『約束もしてないのに・・・。』 自分でそう言った瞬間、2人同時に思い出した。 連絡出来なかった事を。 『あっ!』『あー!』 『も〜言いたい事沢山有るね。私達。』 笑いながら言う私。 『そうだよ〜。ったくぅ〜。笑い事じゃないよ。』 苦笑しながら答える彼。 『とにかく寒いし、さっ!行こう』 『うん。』 そう言って急いで家に向った。 ―つづく―
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