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リース 雪のクリスマス・・・・・ 5夜 リース
2000年12月
海亜 作


サンタととなかい

クリスマスイブ

中を開いた。
【2001年、新規採用について】

『こっ、これは・・・。』
『そう。そういう事だから。履歴書等を書いておいてね。』
『あっ、あの・・・。』
『倫子ちゃん、今の仕事に満足してる?』
ドキッ!
常日頃感じていた事を言われた。
確かに・・・満足していない。
『そっ、それは・・・。』
言葉に詰まってしまった。

『ほら、即答出来ないでしょ?』
『・・・。』
『こんなチャンス滅多に無いわよ。』
『・・・。』
『今年いっぱいでアシスタントやめちゃう子が2、3人居るの。
だからお願い!私を助けると思って。ねっ!』
助けるなんて・・・。
佳子さんの言葉が私の心に深く染みた。

『・・・はい!分かりました。』
力強く答えた。
『良かったぁ〜。』
『あっ、でも・・・大丈夫でしょうか?』
以前の出来事が心に引っ掛かっていた。
佳子さんの了解を得ても上の人が私を再採用してくれる保証は無い。
『大丈夫よ。私が面接の最高司令官みたいなもんだから
仮の面接だと思ってくれればいいの。』
『・・・そうなんですか。』
複雑な心境になった。
安心したような・・・でも自分の力を否定されたような・・・。

そんな私の心情を悟ったのか佳子さんは言った。
『あっ、誤解しないでね。最終決定権は社長なの。
だから頑張ってね。でも、今までの成果があるから、絶対に大丈夫よ。』
『・・・はい!頑張ります。』
『うん。来年から倫子ちゃんと仕事が出来ると思うと嬉しいわ〜。』
『私も佳子さんと一緒に居れて嬉しいです。』
『そして・・・秀くんも。でしょ?』
ニヤっとしながら聞いてきた。
『はい。』
照れながら答えた。
『いいわねぇ〜。でもまた3角関係始まっちゃうわよ〜。』
『はい!楽しみにしてます。』
『あっ、やっぱり・・・この話は無かった事にしましょう。』
『えー、そんなぁ・・・。』
『うそ、冗談よ。ほんと、倫子ちゃんをからかうのは楽しいわ。』
『佳子さん・・・。その冗談きついですよぉ。』
苦笑しながら答えた。

『ごめん、ごめん。あっ、もうこんな時間。急いで家に帰らなきゃ!』
『何か予定でも有るんですか?』
『そう!優しい旦那様と、可愛い子供達が待ってるの。』
『いいですねぇ〜。』
『あれ?そう言えば倫子ちゃんは?秀くんと会わないの?』
『・・・はい。』
その事を思い出し、表情が暗くなった。
『そっ、そうなの?私は、てっきり倫子ちゃんと約束してるのかと・・・。』
『どういう事ですか?』
『秀くん、急いで帰って行ったの。これから用が有るんだーって。』
『そっ、そうですか・・・。』
『あっ!』
佳子さんが突然、大きな声を出した。
そして何かを思い出したかのように微笑んでいた。
『どうしたんですか?』
『倫子ちゃん、今日は真っ直ぐ家に帰るのよ。絶対に。』
『えっ?どうしてですか?』
『いいの。とっ、とにかく、寄り道なんてしちゃダメよ。』
『・・・はい。』
訳が分からなかったけど返事をした。
『それじゃ、また今度ゆっくり会いましょうね。』
そう言うと急いで店を出て行った。

相変わらず忙しい人だなぁ〜。
あっ!佳子さんの携帯番号聞くの忘れた。
あ〜あぁ。。。
店内に流れているクリスマスSONGは 落ち込んでる私に更に追い討ちを掛けた。

きっと君は来ない 
1人きりのクリスマスイブ
サイレントナイト・・・


クリスマスイブかぁ・・・
窓の外を見て、より一層、切なくなってしまった。
寄り添いながら歩いてる恋人達・・・。
会いたい。。。会いたいよ。
この事を早く伝えたいよ・・・。

午後7:00。
店の片付けをし電気を消した。
そして鍵を閉めて外へ出た。
『う〜寒い。』
辺りは粉砂糖のような景色。
降っていた雨が、夕方の冷え込みでいつの間にか雪に変わっていた。

駅までの通り道。
大きな看板が目に飛び込んで来た。
【エンジェル】
聖母マリア様がイエスキリストを抱いているかのよう・・・。

なんで・・・。なんで思い出させるの?
これ以上、切ない気持ちにさせないで・・・。
止めどなく涙が溢れ自分でも情けなくなった。
ほんと、いつからこんな泣き虫になったんだろう。
また、あの日の事を思い出した。
泣いてる私に短く甘いKISSをしてくれた事。
この涙・・・止めてよ。今すぐ止めに来てよ・・・。

でも、そんな願いは滝沢くんに届かなかった。
サンタクロースにさえも・・・。

―つづく―




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