[back]

涙のあとは 第6章
my brother
2000年10月
しいな 作


「来ないねー。彼女。なっ翼。」
滝沢に振られて俺はどーリアクションしていいものか悩んだ。
「俺に聞くなよ。知るかよ。」
確かにあれから彼女は来ていない。ずっと待っている自分が情けないんだけど。
「彼はちゃんと来てるけどね・・。」
視線の向こうには彼女の弟がいる。なかなか負けず嫌いでがんばっている。
「聞いてみよっか?」
「何を?」
「トーマス、ちょっと!」
おいおい、何を聞くんだよ。やめろってば。
滝沢が斗真になにやら耳打ちする。
OKと手でサインして彼女の弟の巧くんの所に行く。
彼はすぐちびっこJr達ともうち解け、仲の良くなった子と一緒に振りの練習をしていた。
斗真が二言三言と話しかける。少年はにこにこと笑顔で答えている。
何分かで斗真が帰ってきた。
「報告しまーす。蒔さんは大学3年生でもうすぐ21歳だそうです。
いま、バイトや部活で忙しいらしくて、なかなか家にもいないらしいです。以上。」
手を上げて答えてる。
「っていうことは・・3歳年上かぁ・・。繭より上なんだなぁ・・。」
滝沢は、自分の彼女の名前を言う。
俺は会ったことがあって、とても大人っぽくて綺麗なひとだった。
だけど・・こいつの話だと天然らしい・・。
「しばらく、こっち来ないのかね。残念だな。翼くん。」
「面白がってるだろ?いいよ。なるようになるさ。」
俺は彼女の顔を思い出す。会わないと忘れそうだな・・。ちょっと苦しくなる。
「気分転換してくる。悪いけど先生来たら教えてくんない?」
滝沢と斗真にそう言ってレッスン場を後にする。
外にある自販機でウーロン茶を買う。
ふと、ロビーからガラス越しに外をみる。



ジャニーズのレッスン場に私は向かう。
両親が今日は弟のお迎えが出来ないので、代わりに私が行くことになった。
しっかり翼くんのハンカチをバッグに入れていた。
建物の前に差し掛かろうとしたとき・・突然後ろから腕を掴まれる。
ビックリしてうしろを振り返ると・・。
「洋介?!」
「よう、やっと、2人で会えた。」
幼なじみの洋介、元恋人で別れたはずなんだけど・・。
「なんで、こんなとこいるのよ。」
「着けてきたんだよ。だってお前2人きりで会ってくんないじゃん。」
かなり、背もたかくてモデル風の容姿。行き交う女の子達は振り返っていく。
「当たり前じゃない。もう私、洋介の彼女じゃないもの。」
「だけど、俺はお前と別れたくない。
俺のこと一番わかってくれるのお前だし、他の女はみんな遊びなんだよ。
浮気。本気じゃない。」
「そんなの勝手じゃない。浮気相手の女の子も気の毒よ。
もう、あんたのは病気だから治んないってわかったから別れるって決めたの。
私そうゆうの我慢できないから。
わかったでしょ?私の気持ちは変わらないから・・」
私は洋介に構わず歩き出す。
「待てよ。」
並んで歩いてくる。
「洋介には私より相応しい子がいるんだよ。浮気しないくらい好きになる子が他にいるのよ。
私じゃだめなのよ。きっと。」
「好きな奴でも出来たのか?」
掴みかかってくる。ちょっと・・やだ怖い。
「洋介・・やめてよ!痛いってば!」
その時、洋介の腕が掴まれる。
「やめろよ・・。痛がってるだろ?」
その人物を見ると・・。
「翼くん・・・!?」


―つづく―


[top]