心を開いて・・・第3章 Your dream I believe |
2000年10月 海亜 作 |
『倫子さ〜ん。お茶でいい?』 キッチンで滝沢くんが聞いてきた。 『うん。』 緊張してるのか、暑かったからなのか喉がカラカラ。 『どうぞ。』 『ありがと。』 そう言うと私はそれを一気に飲み干した。 滝沢くんは少し驚いていた。 『美味しい〜。もう一杯!!』 そう言ってコップを差し出した。 滝沢くんは不思議そうな顔をしながら注いでくれた。 またまた私は飲み干した。 その姿が妙に可笑しかったのか突然笑い出した。 『ぶっ。ビールを一気飲みしてる、どっかのオヤジみたい。』 『ひど〜い。そう言う自分もオヤジのくせに。』 『まぁ〜ね。俺、精神年齢40だからね。もうバリバリおやじ。』 『じゃぁ、今度から“お父さん”って呼んでもいい?』 『おっ、俺が倫子さんの親父(おやじ)?』 『うん。突然こんな可愛い娘が出来て幸せだね。お父さん!』 『そうだな〜。倫子。』 ドキッ!呼び捨て。 演技(?)なのに凄くドキドキしてしまい顔が赤くなった。 それを見て滝沢くんは・・・私の気を感じたのかほんのり顔がピンク。 『あ〜、何か喉渇いてきちゃった。』 と言うと席を立って冷蔵庫から何やら持って来た。 青色のパッケージのペットボトル。あっ!海のサプリだぁ〜。 滝沢くんがそれを手にしてるだけで絵になる。 CMをしてたんだもん。当たり前か。 滝沢くんは期待通り(?)直接ボトルに口を付けた。そして歩いてる。 再現を見たような気がして嬉しかった。 そして私は思わず言ってしまった。 『“僕は・・・”の続きは何を言いたかったの?』 凄く変な事聞いてるのは自分でも分かっていた。 でも、これは滝沢くんのファンならずとも誰もが思った事だろう。 私は代表として聞いたんだ。と半ば開き直った。 『何?って・・・なぁ〜んも考えてなかったなぁ。』 滝沢くん苦笑しながら答えた。 『そっか。そうだよね。』 『でも・・・今だったら。。。』 滝沢くんは遠い目をしていた。 『えっ?何て?』 『秘密。』 『あ〜、ケチー。』 『いつか、教えてあげるよ。』 その表情はとても優しく見えた。 私は急に恥かしくなり話を反らす為、また変な事を聞いてしまった。 『ねぇ〜。【爽】は無いの?』 『なに?今度はアイス食べたいの?』 『違うよ〜。CMに出てたら沢山貰えるのかな?って思っただけ』 『あぁ〜。俺、甘い系苦手だもん。』 『あっ、そっか。そうだったね。 じゃぁ、クランキーとかコアラとかも、ほんとは嫌だったんだぁ〜』 『・・・いっ嫌なんじゃ無くって、苦手なのっ!』 必死に言い訳?してる。そんな表情も可愛い。 あれ?そう言えば・・・何でここに来たんだっけ? 他愛も無い会話をしてる自分達に気付いた。 滝沢くんも同時に、それを感じ取ったのかこう言った。 『あのさ・・・ドラマも終わって、ちょっとスッキリしたいんだよね』 えっ?スッキリって・・・どういう事? ―つづく―
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