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君を想うとき・・・ 第10章
we can fall in love
2000年10月
海亜 作


私は二宮くんにオレンジジュースを出した。
そして部屋の隅で本を読んで居た。

『あっ、ドラマの最終回見て泣いちゃったよ』
『それはどうも、どうも。ドラマ班リーダーのお前に言われると素直に嬉しいよ』
『そんなぁ〜。俺なんて、まだまだ』
『でっ、今日はどうした?何か有った?』
『実は・・・今、作詞作曲してるんだけど煮詰まっちゃって・・・
それで滝沢くんのお知恵を拝借できたらいいなぁーと思いまして。。。』
『そんなの自分で考えろっ!って言いたい所だけど
わざわざ相談しに来てくれたんだから、そんな事言わないよ』
『良かったぁー。滝沢くんなら、そう言ってくれると思った』
『ったく調子のイイ奴だなぁ。でっ、どんな感じなの?』
『えっと、カセットテープ持ってきたんで、ちょっと聴いてみて下さいっと・・・』
そう言って二宮くんはカバンの中から手帳とデッキを取り出した。

♪僕が幸せでいれる場所♪
『うん。なかなかイイ感じじゃん。そうだなぁ。。。俺だったら・・・』
滝沢くんは真剣に考えていた。
そして話し合う事1時間。ようやく納得した結論が出たらしい。

『ありがとう。まじ助かった。滝沢くんに相談してよかったよ』
『俺、相談されるの嫌じゃないから。むしろ嬉しいのよ。
だから、これからも何か有ったら言ってきて』
『分かった。これからも宜しくお願いします!!』
『OK〜!。ところで、お前この間言ってた好きな人とはどうなったの?』
『しーっ!こっ、声でかいよ〜。。。それがぁ・・・』
二宮くんは私の存在が気になったのか小声で話し始めた。
『あっ、倫子さんなら大丈夫。口堅いし余計な事言わない人だから』
『そっか、じゃぁ、聞いてもらおうかな』
そう言うと少し寂しそうな表情になって語り始めた。

『その人とは、もうダメって感じかな。最近連絡取れないし。
一応彼女だと思うんだけど・・・どうかな?俺の片思いかもしれない』
『大丈夫だって。信じる者は救われる!だろ?』
『アハハ〜。そうだね。俺がいつも言ってる言葉だ(笑)
今日は色んな事で救われた。まじ、ありがとう』
そして少し元気になった二宮くんは丁寧に私にまでお辞儀をして部屋を出て行った。

『あいつ・・二宮は恋愛に対しても結構一途なんだよなぁ。
俺もそうだけど。でも、あいつは感情をストレートに出すって言うか
出せるっていうか・・・そういうの羨ましいよ』

私は、ずっと気になってた事を聞いてみた。
『滝沢くんは、そんな人居ないの?』
二宮くんの恋愛の話を聞いて勇気が出たのかもしれない。

ガシャン!
滝沢くんは焦ったのか手元に有ったコーヒーを零した。
『あっちぃー。突然何言い出すのさぁ〜。あービックリした』
『あっ、ごめんごめん。大丈夫?火傷しなかった?』
『大丈夫、大丈夫。で、さっきの話だけど。俺に好きな人が居るか?って事』
長い沈黙が流れ、そこには一点をだたジーっと見詰める滝沢くんが居た。
そして、その沈黙に絶える事が出来ずに私が口を開こうとした、その時
『・・・居るよ』
そうポツリ言った。

                                                                          ―つづく―


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