君を想うとき・・・ 第5章 we can fall in love |
2000年10月 海亜 作 |
『あっ、ここで結構です。ありがとうございました』 私は送って頂いた運転手さんに挨拶をした。 『タッキー王子。それと・・・お供の斗真くん。送って頂いてありがとう』 そして2人にもお姫さまらしく上品に挨拶をした。 『いえいえ。どう致しまして。大事なお姫さまですから』 どうやら斗真くんはお笑いのセンスが有るらしい。 『あっ、忘れるとこでございました。姫に招待状でごじゃって。。☆○★』 タッキー王子は焦ってカミカミ。可愛いなぁ。 『招待状?』 『はい。明日休みでごじゃ。。ってもぉー!この話し方終わりっ! 倫子さんに最終日見てもらいたいの。だから、ハイ』 そう言って白い封筒を差し出した。中にはコンサートチケットが2枚。 『あっ、これは・・・明日の』 『うん。佳子さんにはさっき電話で話して了解取ったから』 『・・・』 『明日は久しぶりの休暇なのに・・・やっぱり迷惑だった?』 『ううん。違うよ。凄く行きたかったから嬉しい。ありがとね』 『よっしゃぁー!!じゃぁ、オーラスは気合入れてやるぞぉー!』 『滝沢く〜ん。気合入れてアイ―ンの連発し過ぎで顎外さないでよぉー』 『ばっ、ばか!俺、最近やってないだろぉ〜。アイ〜ンなんて』 『ギャハハ〜。今やったじゃないっすかぁ』 斗真くんは、やっぱりお笑いのセンスが有る。 速攻突っ込みを入れて滝沢くんを喜ばせていたから。 『もぉ〜。最後まで笑わせないでよー。じゃぁ、明日。会場でね』 私は、そう言って車から降りた。 あんな楽しい2人は、さっき真剣に打ち合わせしてる人とは別人の様だった。 私は春のコンサートが始まる前に滝沢くんが言った事を思い出した。 俺って言うかジュニアはまだデビューもしていないのに ファンの子が沢山居てくれて・・・正直言って申し訳無いって思う時が有る。 コンサートだってお金払って見に来てくれてる訳じゃん。 金額的な問題じゃないけどそれに見合った価値の有るコンサートにしたい。 だから俺は手抜きしない。妥協もしない。 私はコンサートに行った事が無いから、どう言えば良いのか分からず 『うん。とにかく一生懸命頑張れば、きっと伝わると思うよ』 と、ありきたりの言葉しか言えなかった。 明日行けば少しは滝沢くんの言った事、理解出来るのかなぁ。。。 私は、その夜なかなか眠れなかった。 興奮してるのかな? それとも・・・本気で好きになるような予感がしたから? ―つづく―
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