君を想うとき・・・ 第3章 we can fall in love |
2000年10月 海亜 作 |
スタジオに着いたのは朝の7時。 今井くんはドラマの撮影を徹夜でしていたらしく、かなり眠そうだった。 そして取材が終わったのは昼過ぎ。 それから赤坂に居る佳子さんの元へと急いだ。 昨日はドラマの撮影が有って今日はガキバラ。 若いから出来る事なのかもしれないけど過酷な日々を送ってる。 ちゃんと食事採ってるのかなぁ。 滝沢くんは自炊が得意って言ってたから大丈夫か。 でも・・・コンサートも有るし。睡眠時間足りてるのかなぁ。 モニターから見える元気いっぱいの滝沢くんからはその心配はなさそうだけど。。。 収録を終え滝沢くんが楽屋に戻って来た。 ガチャ。 ドアが開いた。 『お疲れ〜っす』 『お疲れ様』 『あれ?佳子さんは?また打ち合わせかなんか?』 『うん。そうなの』 『最近あの人忙しいねぇ。人気出たって証拠だけど』 『寂しいの?』 『ちょっとね。なんせ俺の大事な人だから。昔・・・』 『えっ?』 『あっ、なっ、なんでも無い。っと、このカツラ熱ちぃ〜』 滝沢くんはちょっと赤くなったのを誤魔化していた。 何?大事な人って?昔って・・・? 『はい、メイク落とすから座って』 『なんか今日は満点の笑顔って感じ。あ〜良い事有ったなぁ?』 『エヘヘ。分かる?あのね・・・』 と言い掛けた時、滝沢くんが慌てて 『あっ!ちょっと待って、俺が当ててみせるから』 そう言って腕組みしながら考えていた。 待つ事30秒。 『あ!お昼ご飯は倫子さんの好きなカツ丼だった!』 『ブー!』 『うっそぉ〜。じゃぁ。。。翼の担当をした!』 『当たり!!ってどうして分かったの?』 『エヘヘ。実はさっき翼から電話が有ったの』 『なぁ〜んだ。超能力でも有るのかと思っちゃった』 『ん〜な訳無いじゃん!でも・・・倫子さんの事は分かるかも』 滝沢くんは意味深な事を言うと、得意の鏡越し光線?目線を送っていた。 もうこのビビビー光線にも慣れてきた。 と言うのは嘘で毎回ドキドキしてしまう。 『じゃ、今私は何を考えてるでしょう。当ててみて』 私はお返しにいじわるな質問をしてみせた。 精一杯の勇気を振り絞って。 『う〜ん・・・あっ!俺の事カッコイイと思った!』 『ブー!全然思ってませぇ〜ん』 『そんな力入れて言わなくたって・・・』 『あっ、ごめん、ごめん。つい本音が』 『なんか今日の倫子さん強気じゃん!自信付いたって感じ』 『そう?でもね。凄く手ごたえ有った様な気がする。 私の手によって今井くんがドンドン変わっていって、それを見てると嬉しくって。鳥肌が立っちゃった』 『翼も絶賛してたよ。初めてなのに上手だったって』 『えっ?ほんと?嬉しいぃ〜!』 『あっ!倫子さんの考えてる事分かった!』 『何?』 『その喜びを彼氏に早く伝えたい!でしょ?』 『当たり〜!って言いたいとこだけど・・・そんな人居ないよ』 『えっ?居ないの?まじで?』 『うん。まじで居ないよ』 『佳子さんがこの前、彼氏と居る所見たって言ってたけどなぁ・・・』 『あっ!』 私は手にしていた化粧水を床に落としてしまった。 『?!あ〜ビックリしたぁ。何?動揺してんの?』 ―つづく―
|