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瞳で殺せ!!第6章
when I sit by him
2001年9月
しいな 作


 今日も・・暑い・・けど・・嫌じゃない。
海に来て・・そーめんをすする。んっまいっ!やっぱり夏はこれに限るなぁ。
水着のお姉ちゃん達も目の保養になるし・・。
今日は、友達と海に遊びに来てる。っと言っても・・心はかなり違う所にある。
あの・・お姉ちゃんが・・彼女だったらなぁ・・。想像したりして・・ああやばい。
「秀。どうする?ひと泳ぎして帰るか?」
友人のひとりが食べ終わってそう言った。オレは、「ああ・・そだな。」と
頷いてそーめんの器を渡す。そいつは、器を受け取って返しに行った。
オレたちは、くたくたになるくらい泳ぎ回って遊んだ。
そして、次回また遊ぶ約束をして別れた。

そのまま・・家に帰ろうかと考えたけど・・どうにも・・気になってしょうがない。
みはるさんは・・ロンドンに行くんだろうか・・。
元の恋人って言ってた。まだ、あの・・佐見さんって人のこと好きなのか・・。
オレは、以前行ったことがある・・みはるさんの職場の美容院に行ってみる。
行ってどうなるわけでもないけど・・足がそっちに向かってる。
近くに車を止めて・・怪しいかもしれない・・オレ。
サングラスを掛けて迷彩柄のランニングにジーパン。足下は雪駄。
すると、CLOSEと書かれた札が掛かってる。
「おっと・・休みか・・しまった。」
なんて思っていると、中に数人の男女がいる。
休みなのに・・働いてる人・・いるんだな。
ふと・・数台しか止められない駐車場に・・すごい派手な車が止まってる。
かっけぇ〜!ポルシェ?フェラーリ?ショッキングイエローっていうのかな。
派手だけど・・カッケェ!と見ていると・・美容院のドアの開く音がした。
思わず・・物陰に隠れる。ああっ・・オレ・・何してるんだろう。
なんて思っていると・・出てきたのは・・。
みはるさん!!
何か・・髪型が違う・・化粧もしてる。
いつもと感じが違う。何か・・きれいだ・・。オレは見惚れてしまう。
彼女のヨコには・・雑誌に載ってた・・佐見トオルだ。
腕を掴んでみはるさんをあの派手な車に押し込んでる。
重厚なエンジンの音が聞こえる。

オレは・・気が付いたら・・イエローのスポーツカーを追っていた。
やっと・・最近・・運転にも慣れたけど相手がかっ飛ばすのでかなりびびった。
みはるさんと彼は、高級ブランドのセレクトショップに入って行った。
数十分後・・出てきたとき・・彼女はTシャツとジーパンというカジュアルな 格好からノースリーブのブラウスにスカートに変わっていた。
すげー、似合ってる。あいつの見立てなんだろうな・・。むかつく。(笑)
そのあと、イタリアンのレストランに入っていった。
出てきたあとは・・彼女は、何だか上機嫌でお酒が入ってるっぽかった。
そんなに楽しいんだ・・この男といると。オレにはそんな風に笑ってくれないよね。
もう・・日が暮れたころ・・2人は、海が近くにある公園に車を止めて 話をしてた。
オレも車から降りて離れた場所でみはるさんを見ていた。
回りは・・カップルだらけ。オレって場違い?
なんて思いながら、2人に注目していると・・佐見トオルがみはるさんの華奢な 肩を掴んで引き寄せてる。
わっ・・何するんだっ・・やめろっ・・みはるさ〜〜ん!!と叫びそうになったとき、
彼女は、持っているバッグで男の顔に押しつけてる。キスは未遂に終わった。
ホッ・・オレは、胸をなで下ろした。
そして、彼女は何かさけんでその場を離れていった。駅の方に向かったみたいだ。
オレは・・決心した。良し・・拒んだってことは・・そういう関係じゃないんだ。
好きです。ロンドンには行かないでオレの側にいてって言う。告るぞと。
そう思って彼女を追いかけようとしたとき・・オレの前に影が・・。

「滝沢くんだよね?何やってんの?」
いつの間にか・・佐見トオルが俺の前に立っていた。
「あ・・え〜と。どなたでしたっけ?」
オレは・・白々と・・オレよりも10センチは背の高い男を見上げる。
「悪いんですけど・・オレ急ぐんで失礼します。」
と立ち去ろうとしたけど・・後ろから覆い被さってくる。
「なっ・・何すかっ?」
「オレね・・2年前にあいつを置いてロンドンに行ったのね。
でも・・本当は 連れて行きたかったんだわ。めちゃ好きだったから。2年ぐらい放っておいても 大丈夫だと思ったんだけどね・・。」
ぼそぼそと寂しそうに話す。少し・・息がたばこ臭い・・。
「フラレたんですか?」
オレがそう聞くと体から離れてオレをじっと見つめる。
「ふん・・まだわかんねぇよ。オレはあきらめが悪いんでね。にしても・・
ライバルが・・こんな・・頼りなげな奴だとは・・。まだ、19歳だってな。」
ちょっと小馬鹿にしたような・・視線。ナメられてる?
「ロンドンには、連れていく。あきらめな。ガキンチョ。」
「子供扱いやめてください。オレだってみはるさんのこと諦めませんから。」
そう、力説するオレを見て「ふん。」と鼻で笑ってその場を去って行った。
オレだって・・負けないっ。と拳を握りしめたのはいいとして・・。
みはるさん・・見えなくなってしまった。
考えてみれば・・どこに住んでるのかも・・携帯の番号さえ知らない。
しまったぁ・・聞いておくんだったなぁ・・。と後悔するオレ・・。
会えるのは・・明後日だっけ?会いたい・・話したい。
そう思いながら・・しばらく海を眺めるオレだった。





―つづく―




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