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瞳で殺せ!!第3章
when I sit by him
2001年9月
しいな 作


「ああ・・そんなことか・・決まってんじゃん。」
Jrでの最大のライバルにして親友の今井翼が自分でドライヤーでセットしながらそういう。
やけにあっさり言いやがって・・。(笑)
「意識してるからに決まってるだろ。相変わらずにぶいね。君は。」
「このやろ!(笑)意識と言うことは・・つまり。」
みはるさんが、オレのことを好きってことか・・。マジかよ。
なら・・すんげー嬉しいけどさ。何であんなに辛そうしてたんだ?
「うーん。オレは何となくわかるけどな・・。」
翼は、形の良い瞳でオレを見る。
ドライヤーを止めて、着ていたシャツを脱いだ。
ジムにも通っているらしい。華奢なのも・・少し・・良くはなったかな。
「あ?・・何?」
翼は、じっと見てるオレに目を向ける。
「いや・・頑張ってるんだなと思って・・。まだ、ひょろいけど・・。
ところで・・さっきの・・何よ。気持ちが分かるって。」
翼は・・何を言われたのか・・少しの間止まってた。
「何を言うかと思えば・・。まぁいいや。
さっきの話はさ、滝沢は、自分じゃ気づいてないかもしれないけど・・
普通の人にくらべると・・オーラがあるわけよ。」
翼は、そう話をしながらスタイリストさんが用意した衣装を着ていく。
「身近でもさ・・雑誌に上半身裸の写真が載ったり、CMもニュースになったりする人って思うと、
彼女にしてみたらすごく遠く感じるんじゃない?」
ふ〜ん・・そんな風に考えたことなかったなぁ・・。
常にいい仕事をしたいと思ってる結果だし、 オレ自身は普通の男だと思ってるんだけどな。
「ま・・オレも芸能人です。タレントですって威張るつもりもないけどね。
回りはそういう風には見てくんないっしょ。だから、みはるさんも何も言えないんじゃん。」
翼のマシンガントークが炸裂。良く喋るよ・・こいつ。(笑)

すると、ドアをノックする音がしてヘアメイクさんとスタイリストさんが入ってくる。
担当は・・みはるさんとは別の人だった。
「あれ?今日のオレの担当って優美さんなんだ。みはるさんは?」
翼がそうつぶやく。
彼女は、主に翼を担当していて、主婦さんと聞いたことがある。
「あらぁ?私じゃ?不満?」彼女は、笑いながらそう聞いてきた。
「そっ・・そんなこと、ないですっ。」
「せっかく、欲しいって言ってたシャツ見つけて来たのになぁ・。」
すると、翼の瞳が「キラッ!」っと輝いた。あ〜出た・・虫が・・。
「嘘!ホントに?どこにあったの?買い取りする〜。」
本当に・・ファションや服のことになると・・目の色が違うんだよな。
すると、優美さんは、「タッキーは?何か欲しいのある?」と声を掛けてくれた。
あ〜・・オレは別にいいやって言おうとしたとき、
「そうだ。今日着てたパンツ。いい感じじゃない?みはるさんに聞いてきたら?」
翼は、オレに向かって、にっこり笑う。わっ・・何だ?
「みはるさん、ってもう帰ったのかな。優美さん知らない?」
翼が優美さんに向かって聞いた。
すると彼女は、「そうねぇ・・。」と考え込む。
「休憩してるんじゃない?誰かさんがいつもの調子出ないから、お昼も食べ損ねたみたいよ。ね・・タッキー。」
にっこりと微笑みそう言われる。
「すっ・・すみませ〜ん。」
オレは、笑って誤魔化す。どうしようかな・・会って話がしたいよな。
ふと・・時計が目に入る。あ・・もう少しで次の仕事に行かないとな。
その前に・・会って来よう。急がないとマネさんが迎えにくるだろうし。
「じゃ、翼・・オレ・・ちょっと行ってくる。」
「ふ〜ん・・まぁ・・夜行くから!」
と鏡越しに言ったので「おう!」と返事して優美さんとスタイリストさんに挨拶して翼の控え室を後にした。

休憩室を覗いたけど・・みはるさんの姿はなかった。
どこにいるんだろ?と見回しながら・・歩いていると階段が見える。
「いないか・・もう・・仕事に戻ったのか・・。」
そのまま・・階段を数段上った時・・微かにみはるさんの声が上からしたような・・。
ふと・・上を見ると・・踊り場にみはるさんと男がひとり立っていた。
オレは、慌てて見えないように・・影に隠れる。
「突然・・そんなこと言われても・・困るんですけど・・。」
みはるさんは、戸惑ったような声を出していた。
相手の男は・・誰だろう・?顔が良く分からないんだよな・・ここからじゃ。
「何で?良い話だろ?」
なんか・・馴れ馴れしいっぽいよな。何者なんだ?
オレは、耳を澄ませる。
「だって・・突然でしょ?ロンドンに一緒に来ないかって・・。」
えっ?何だ・・ロンドン?
オレの心がざわざわと騒ぎだす。
「あっちでさ、オレのアシスタントして欲しいんだよね。お前なら安心だしさ。」
「トオルさんなら・・もっといい人いるじゃない。
向こうに私なんかより数段腕のいいアシスタント沢山いるでしょ。なにが不満なの?」
みはるさんも・・昔からの知り合いみたいな口調。
だっ誰なんだ!この男は!
「不満かぁ・・敢えて言うなら・・お前が側にいないことかな・・。」
なっ・・何だって!オレは・・思わず相手の顔が見たくて身を乗り出す。
「もう・・冗談ばっかりなんだもん。どれが本当かわかんない。」
ああ・・ちくしょ〜見えね〜よ!
みはるさんは・・何だか、微笑みながら話してる。
「冗談じゃないって・・オレたち・・より戻さない?」
えっ・・てことは・・昔の・・恋人?
その時・・遠くから・・マネさんの呼ぶ声が聞こえる。
やべ・・行かなきゃ・・。くそ・・相手の男・・気になるっ。
「タッキー。何やってるの。次の仕事場行くよ。」
そう階段のしたからマネさんが見上げてる。
オレは、後ろ髪引かれながらその場を離れた。



―つづく―




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