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儚き春の光・・・七夜
hikari akihide story
2001年7月
海亜 作


それから一週間後。
いつものように気合を入れて戸に手を掛けた。
すると・・・
『最近の明秀様は以前とは別人の様だと思わぬか?』
『わたくしもそう思っていたところだ』
『以前は、わたくし供に気軽に話し掛けられる事などなかった。
わたくし共の意見なぞ聞く事もなかった。
やはりあの時の事故で頭が変になられたのでは・・・』

た、確かに・・・別人なんだけど(^^;

『わたくし・・・実は名案を思い付いたのでございまする』
『松宮の考える事とは・・何か嫌な予感がするのは気のせいか?』
『ぶ、無礼な!』
『とにかく聞くだけ聞いて、その後判断しようではないか』

そしてヒソヒソと話始めた。
なんだろう・・。う〜〜気になるっ!!

話が終わった気配がし、俺は襖を開けた。

『わたくし、雛の宴の催し物を考えて参りました』
松潤が言った。
『えっ?!あ、申してみよ』
『これまでの催しは琴に合わせて舞いを踊る等、ありきたりの物でございました。
ですが、今年は一味変えた思考でみなを驚かせたいと思い
雛祭りらしく、雛祭りの舞を10人で行いたいのでございます』
『それは・・どう言う事だ?』
『つまり、この中でお内裏様、お雛様、3人官女、5人囃子を決め
雛祭りの歌に合わせて歌い踊るというものです』
『なるほど!』

『お雛様は・・・ここに居るみなの意見が一致しました』
『誰だ?申してみよ』
『・・・あ、明秀さまでございます』 
『へっ?お、私がか?』
『は、はい』

みんなの表情が固まる。
固唾を呑んで俺の返事を待ってる。
真剣な瞳で。というより・・・意地悪な眼つき。

俺は少し考えた後、笑顔で答えた。
『分かった』
『えっ!!!』
みんなの、どよめきに似た返事が返ってきた。
な、なんなんだ?

『お雛様という事は・・
つまり女装をしなければいけないって事でございますよ?』
翼が重い口調で言った。
『分かっておる』
『本気で仰ってるのでございますか?』
大きく頷いて答えた。
だって〜かなり本気なんだもん(^^)
楽しみで楽しみで自然と顔がニヤけた。

が、みんなの表情は暗い。
一体どうしたんだろう?
俺が、お雛様をやるって言ったのがダメだったのかな?

突然、松潤が土下座をして謝った。
『も、申し訳ございませんでしたっ!!』
はぁ?
続けて松潤が言った。
『明秀さまは誇り高きお方ですので、女装をするなんて事は
絶対になさらないし、この事を言っただけで
御怒りになると思っていたのです。ですが・・・』

あ!これが・・・松潤が考えたイイ案なのか?

『私がやると言ったから驚いたのか?』
『はい』
『私を怒らせたかったのか?』
『も、申し訳ございませんでしたっ!!』
松潤が再び土下座をし謝った。

『松ノ宮だけが悪いのではございません。
わたくしも同意した事でございます。何とぞお許し下さいませ』
今度は翼が土下座をし謝った。

『翼卿ノ宮は・・・“やめよう”と申していたのでございます。
ですが、わたくしが“やろう”と発破を掛けたのでございます。
悪いのは、わたくしでございます。申し訳ありませんでした』
二宮が土下座をした。

続けて翔くん、相葉ちゃん、大ちゃんが
それぞれにお互いを、かばい合い俺に土下座をした。

ふぅ〜。厚い?熱い?友情だなぁ〜。
俺も混ざりたい!!っていうのが本音。

『みな・・・。顔を上げよ』
暗い固い表情の面々。
『今から・・私の言う事に従ってもらう。よいな?』
『分かりました』
『今年の雛の宴の催しは・・雛祭りの舞に決定する』
『はっ?』
みんなは困惑した表情。
『雛様は・・・私がやる』
『えっーっ!』
みんな・・・目が点。

『実は・・・。前から女装してみたかったのだ』
みんなの目が更に点、点、点。
『しかし、そのような事言えるわけがない。
松じゅっ、あ、松ノ宮!ありがとう!感謝カンゲキ雨嵐〜〜♪』
『ぶッ。それを言うなら“感謝感激雨あられ”でございますよ』
翔くんが笑いながら言った。
『あ、そうか!あはは』

さっきとは全く違う空気が流れた。
そして、みんなの表情が一気に明るくなった。

―つづく―




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