儚き春の光・・・六夜 hikari akihide story |
2001年7月 海亜 作 |
そんなこんなで俺は毎晩のように女性の屋敷に通っていた。 美夏月(みなづき)、久実月(くみづき)、ゆう蝉(ゆうぜん)、 友壷(ゆうつぼ)、一恵(いっけい)、京の方(きょうのかた)、 ゆきの君(ゆきのきみ)、ひかりの君(ひかりのきみ) 、 あゆの君(あゆのきみ)、紫那式部(しなしきぶ)・・・ 入内の決まった人、まだ幼い姫、女御・・・。 そして、年が明け初春の頃、それも終わった。 最初は躊躇(ためら)っていたけど終わり頃はすっかり慣れていた。 慣れたと言うか・・・楽しみになっていた。 って・・・これじゃ明秀と一緒じゃん。 あぁ、、、俺どうしちゃったんだ? でも、明秀さまと違うのは優しさが溢れてるって事だよ。 『そっか?俺は普通に話ししてるだけなんだけど・・・』 だって明秀さまは・・・その・・・つまり・・・。 『なんだよ?』 少し笑いながら、からかう様に言った。 交わして・・・はい、サヨナラ!って感じだったから。 『か、交わすって・・・。俺はしてないぞ!』 えっ?そうなの? 今の時代の男の人って、みんなそうだから。 ま、平成の時代もそんな奴いっぱい居るけど(^^; そう言えば・・・明秀に男の友達居ないのかな? 宮中で会う人は年上の人ばかりで、そんな感じじゃないし。 凄く言い難いんだけど・・・明秀さまって嫌われてたから。 ガ〜〜〜ン。 俺じゃない!って思っても・・・やっぱり落ち込んだ。 あ、でも、それもタッキーの力で何とかしてよ。 ったく〜。 俺はどこまで明秀の尻拭いをすればいいんだよ。 そう怒んないでよ。タッキーしか頼る人居ないんだから。 そう言われると頑張っちゃうんだよな〜。 『よし!任せとけ!』 やったぁー!って事で早速来月の宴をプロデュースしてね。 『OK!ってそれ何すんの?』 3月3日は?何の日? 『えっ?耳の日じゃないよな・・・。あ!そっか!雛祭り!』 正解! 『あのさ〜雛祭りなのに何で?』 姫様方を宮中にご招待して楽しませるんだよ。 『へ〜』 この時代の男って結構大変だったんだな〜。 *************************** 次の日。 宮中では雛の宴の話になった。 俺は朱果の助言通り「私にやらせて下さい」と言った。 しばらくして大広間には数人の若者が入って来た。 位が低いのか、みんな頭を下げていた。 『頭を上げて下さい』 俺が、そう言うと、みんなが一斉に頭を下げた。 近付いて、真中の人の顔を見た。 えっ? 『あーーー!翼ー!』 隣を見ると・・・ 『二宮!松潤!翔くん!相葉ちゃん!大ちゃん!』 そして後ろを見ると・・・ 『や、やまぴ〜!斗真!風間ーーー!!』 1人で熱くなってる自分に対してみんなの反応は冷めていた。 あれ?どうしちゃったんだ?あ!そっか! 俺は懐かしさで胸がいっぱいになり、この時代に来てる事をすっかり忘れていた。 **************************** 『みなに集まって貰ったのは他でもない・・・』 そして雛祭りでの催しの話をした。 『何か良い案はないか?』 みんなに聞いてみたけど・・・無反応。 何か言ってくれないと困るんだけどなぁ。 少しの間、重い空気が流れる。 ようやく翼が口を開いた。 『私共に案などございません。明秀様がお決めになった事に従います』 『それじゃダメなんだよ!』 思わず熱くなって叫んでしまった。 やっべぇ〜・・・。 俺は焦って言った。 『と、とにかく明日までに1つ案を考えてきて下さい』 そして、解散した。ふぅ、、、前途多難かも(><) 次の日。 昨日と同じ時間同じ場所に集まってもらった。 襖に手を掛けたが部屋の中から聞こえる会話で躊躇ってしまった。 『二宮は何か考えて参られたか?』 『そのような事は時の無駄』 『同感』 『また御怒りになられたらどうするつもりだ?』 『その時は・・・沈黙を通すのみ』 『同感』 ほんと・・・前途多難。 でも・・今まで散々な事してきたんだよな・・・。きっと。 ≪ローマは1日にして成らず≫ 昔の人は、ほんとイイ事を言ったもんだ。 感心してる場合じゃないでしょ! 『あ、朱果。そうだよな・・・。 でも・・どうすりゃいいんだ?俺、全然分かんね〜よ』 ローマは1日して成らず!って事は、信用は1日やそこらで築けるものじゃないって意味でしょ? 時間を掛けて話して、みんなの心の壁を破ってみてよ。 とにかく!頑張って!じゃぁ。 『よし!』 気合を入れ元気よく戸を開けた。 だけど、結局その日も次の日もみんなが意見する事はなかった。 ―つづく―
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