[back]

涙のあとは 第1章
my brother
2000年10月
しいな 作


 休日のある日、家の電話の音に目が覚める。高らかに鳴り響く。
数回コールしたあと、私は起きあがって子機をとる。
誰も出ないんだもん。みんな出払ってるんだろうか・・?
「もしもし・・?藤原ですが・・。はぁっ?」
私は向こうの第一声に聞き返してしまった。もう、1度聞き返すと・・。
「ジャニーズ事務所!うちの巧がですか?あ・・はい、わかりました。」
そのあと、電話番号や事務所のレッスン場などをメモする。
電話を切った後、携帯で母を呼び出す。
「もしもし?」
母の声だ。隣には父らしき人と弟や妹の声がする。
「ねぇ、私だけど・・。」
「あら、どーしたの?蒔じゃないの。今、お目覚め?」
「ねぇー、誰かジャニーズに履歴書送った?来て下さいって電話来てたよー?」
「あらあら、良かったねー。巧。タッキーや山下くんに会えるよ。」
母はのんきにそんなことを言ってる。そのあとすぐ戻るからと電話を切られた。
弟がJr?履歴書は母が書いたらしい。弟がせがみ、妹もノリノリだったらしい。
今日は家族会議かな?



 「なんで、こういうことになるんだろう・・。」
私は、巧に付き添ってレッスン場にやってきた。母親ならわかるけどさー。
「ごめんね、蒔姉、付き添ってもらって。でも、僕来たかったから。」
弟は12歳、私とは8歳も離れている。かわいい弟のためならしょーがないんだけどさ。「蒔姉ちゃんの好きなキンキやV6にも会えるかもしれないよ。」
そりゃ、うれしいけどさ。
手をつないで入って行くと係員の人に呼び止められる。説明すると場所をおしえてくれる。
そこへ行くと事務所の人たちらしき男性が寄ってきた。
「あの、藤原 巧ですが・・。」
「ああ、藤原くんですね。」
巧は別室で動きやすい格好に着替えるために別行動になる。
「はいっててください。終わったらレッスンに混ざってもらいますから。」
私はレッスン場のドアを開ける。すると熱気が伝わってくる。
奥の正面は、全面鏡で、Jr達が踊っている。音はガンガン鳴っていて、先生に しかられつつひっしに踊っている。
反対の方には、母と同じくらいの女性たちもいて、我が子を熱心に見守っている。

若い子はいなかった。 私くらいじゃん°゚くにあった椅子に座り辺りを見渡す。
すると、奥の離れた、壁に見馴れた豪華なメンバーがいたのだ。
すごいなぁ・・。山Pも斗真くんもいる。ミドルと呼ばれる子達はほとんど揃っている。BSに出てる子ばっかりだ。ちょっと得した気分。
その時、ドアが開いて巧が着替えて入ってきた。
「じゃ、こっちに来て」
さっきの怖い先生のところに巧を連れていった。
わたしは「がんばってね。」っとガッツポーズをする。
巧は真剣に頷く。先生の言うとおりに踊り出す。
まだ、ぎこちないけど必死に踊っている。
おお、様になってるなぁ。弟、人気者になるかも。 すると、再びドアが開く。
「わっ・・。」
声がでるけど大音響なので聞こえない。近くのお母さん達もざわめき出す。
さっきのJrのメンバーが豪華なら・・入ってきたメンバーはJrのスーパースター達。
デビュー確実とされる少年達。滝沢君、すばるくん、横山君、村上君、MA。
特に滝沢くんはすごいオーラで、まぶしいくらい。TVでみるより数段かっこいい。
この中じゃうちの弟は霞んでしまうな。
すると、胸にいれた携帯が鳴り出す。
着メロはキンキの「雨のMerody」と同時に大音響がやむ。
携帯の音がレッスン場に鳴り響く。うわぁ、まずい。
私は慌てて外にでる。なんだか・・笑い声が・・。気のせいかなぁ。

[top]