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心を開いて・・・最終章
Your dream I believe 
2000年10月
海亜 作


『誕生日おめでとうございます!!』
『ありがとうー。』
3人で乾杯をした後、手料理を味わった。

2時間後。佳子さんは気持ち良さそうにソファーで眠ってる。
いつもより、お酒を飲んだから?疲れていたからかな?

私は後片付けをしてからベランダへ出た。
東京の街は眩しいくらい輝いてる。
この前見た宝石箱とは全然違う。

飲めないお酒を飲んだせいかちょっと火照ってる。
それを醒ます為に出たんだけど・・・手には缶ビールと、つまみ。
『今日は酔いたい気分なんだよねぇ。』
そう言って東京の街に向って歌った。

私はあなたが想ってる様な人では ないかもしれない
でも不思議なんだけど あなたの声を聞いてると
とても優しい気持ちになるのよ

気付いたら隣に滝沢くんが立っていた。
『やっぱ、もう秋なんだよなぁ。風が冷てぇ〜。』
『そう?心地良いよ〜。』
『それって、酔っ払ってるからじゃん!僕、まだ飲めませんから。
あっ!柿ピーだぁ〜。頂だい!!』
急に子供ぶってる滝沢くん。
『可愛い〜。キャハハ』
お酒の力?魔力?を借りて、いつもは言わない事を口走ってた。
そして・・・勢いは止まる事が無かった。

『ねぇ〜、今日はどうして私も招待してくれたのぉ〜?』
『佳子さんが倫子さんも一緒の方がいいって言ったから。』
『滝沢くんは?嬉しかった?私が居て。』
『えっ?なっ、なに聞いてんの?もぉ〜かなり酔ってるでしょ?』
『そんな事無いよぉ〜。まだ、だっ、いじょうぶっ。』
私は手にしていたビールがすでに2本目だという事に気付いた。
『飲み過ぎ!弱いくせに。』
『はぁ〜い。』
そう言って柿ピーを食べようとした。が、無い。
『食べ過ぎ!子供のくせに。』
『はぁ〜い。』
2人は無邪気に笑った。

『ねぇ〜。最後に1つだけ聞いていいですかぁ?』
『何?』
『髪の毛を切った理由でぇ〜す。』
『あぁ。その事か。う〜ん。誰にも言わないつもりだったんだけど・・・
倫子さんなら良いか。それに・・・今酔ってるし。』
『なぁ〜にぃ〜?』
『何でもない。じゃぁ、今から言うから、ちゃんと聞くように!』
そう言って話し始めた。

若者の犯罪が多い、今の世の中。
人の真似をしたり、人に左右されたり。自分を見失ってる人が多い。
自分らしく、自分の意志で生きて、歩いて欲しい。
何かを訴えたい。伝えたかった。・・・と。

ほろ酔い気分のまま、聞いていたから記憶が途切れ途切れ。
だた、真剣な横顔だけはハッキリ覚えていた。

ビルの隙間に2人座って 道行く人をだた眺めていた
時が過ぎるのが 悲しくて あなたの肩に寄り添った

『何で、倫子さんに頼んだかと言うと・・・』
私は、その言葉を聞けなかった。いつの間にか寝ていたから。
肩の温もりを感じる。そして・・・唇にそっと何かが触れた。
風?それとも・・・。寝ぼけながら見た滝沢くんの顔がすぐそこにあった。
そして私は安心したかのように、また眠りについた。

Your dream I believe ときめいてる 心を開いて 

あなたは心の内を私に見せてくれたの?
距離が近くなれば、なる程、好きになってる。
いつか、あなたに好きだと伝えていい?心の声を聞いてくれる?



―FIN―




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