心を開いて・・・第8章 Your dream I believe |
2000年10月 海亜 作 |
ジュニアの3大ドームツアーは大盛況の内に幕を閉じた。 雑誌、新聞、TVで大大的に取り上げられた。 滝沢くんも大役を終えてホッとしている様子。 そうして月日は流れいった。秋を感じる間も無く。 時は10月も残り僅かになり冬の訪れを感じる頃。 『明日は久しぶりの休みね。』 佳子さんが言った。 『はい。しかも土曜日ですよ。何か嬉しいですね。』 『何か予定入ってるの?』 『いいえ。昨日、突然言われたから。友達も見付からないと思います。』 『そっか。良かった。』 『えっ?』 『あっ、こっちの話。それじゃ、またあし・・しまうま。じゃ〜ね〜。』 しまうま?馬?佳子さんは意味不明な事を言うと部屋を出て行った。 『さ〜て。私も帰ろうっと。ん?』 カバンの上に1通の手紙が置かれていた。 『何だろう?』 表には見慣れた変な絵(宇宙人?) 封を開けてみる。 明日の夕方5時、俺の家に来て下さい。 滝沢秀明。 明日!?家に!? また寝不足になりそうな予感。 それは見事当たった。目の下にクマさんが2頭。 だから、いつもより念入りに化粧をして出掛けた。 1回行っただけで覚えたマンションを探す。 見覚えの有る景色。公園、街並み・・・ 秋の夕暮れは人を惑わせる魔の時間。 『これから、どんな出来事が待っているんだろう・・・』 ピンポーン。 チャイムを押す。 ガチャ! ドアが開いた。 『はぁ〜い』 女の人の声が聞こえた。あれ?この声は・・・ 『いらっしゃい。』 『あー!どうして佳子さんが?』 予期せぬ事に呆然と、たたずむ私。 『うふふ。秀くんが誕生を祝ってくれるって言うから。』 『えっ!今日でしたっけ?』 『明後日だけど、BDイブイブって事なんだって。』 『そうだったんですか。ビックリしました。私の記憶違いかと。。。』 『ねぇ〜!何、玄関で喋ってんの?』 滝沢くんがキッチンで叫んでいる。 『はぁ〜い。今行きま〜す。』 2人同時で返事した。 リビングに入る。テーブルの上には沢山の料理。 から揚げ、サラダ、チャーハンetc・・・ 『うわぁ〜!凄いご馳走。これ全部作ったの?』 私が尋ねた。 『まぁ〜ね。俺、作るの好きだから。ケーキはさすがに買ったけど。』 『秀くん。ありがとう。ママ嬉しい〜。』 そう言って抱きつこうとした佳子さんを滝沢くんは軽く交わす。 必死に逃げて、必死に追いかけてる。 『倫子さ〜ん。笑ってないで助けてよ。』 そう言いながらも滝沢くんは楽しそうだった。 ―つづく―
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