恋に気づいた夜 第6章 shooting star |
2000年11月 海亜 作 |
キャー!タッキー。翼〜。 観客席から悲鳴にも近い声が聞こえる。 ステージには・・・滝沢くんと今井くんが立っていた。 私の事を気付いているのか分からない。 ただ下を俯いて曲が始まるのを待っている様子。 そしてイントロが流れた・・・ 君が一瞬でも 居なくなると僕は不安になるのさ 涙で滲んでいて滝沢くんの表情が見えない。 でも最後なんだから・・・と思い涙を拭った。 滝沢くんの瞳は潤んでいた。 君と離れて俺は寂しい・・・ そう語ってるように感じた。 たとえ この世が滅びても 2人誓った愛は永遠だから きっと 2人は幸せさ ずっとね ずっとね 滝沢くんの声が心に響いた。 あの日、誓った愛は永遠だから・・・ そう言ってくれてるように感じた。 家に帰ってから気になっていた物を開けた。 シックな感じのオルゴール。ネジを回した。 さっき聴いたばかりのメロディーが奏でる。 小さな箱に、ぎっしり詰まった大切な気持ち。 そして箱の裏にメッセージカードが・・・ 〜もう君以外愛せない〜 『もう。。。こんな恥かしい事言っちゃって。』 そう独り言を言いながら音を聴いていた。 すると頬に熱い物が伝った。涙が溢れてきたのだった。 私って、いつからこんな泣き虫になっちゃったんだろう。 愛や恋を口にするのが苦手な、あなた。 なのに素直な気持ちを精一杯伝えてくれた。 私もちゃんと答えなきゃね。 あなた以外愛せない・・・ 翌日。佐喜子さんの店に行った。髪を切る為に。 『いらっしゃいませ。あ〜。倫子ちゃん。』 『またまたご無沙汰しちゃってました。』 『仕事忙しいの?』 『・・・辞めました。』 『えっ?!そうなの?勿体無い!』 確かに、そうかもしれない。 何も辞める事は無いと第三者なら思うかもしれない。 でも、私はそうする事で何かが始まると思った。 『どれ位切るの?』 『肩までお願いします。』 『え〜!15センチも?凄い勿体無い!』 店を出た。冬の風は冷たくコートが恋しい。 髪の毛を切ったせいか体が軽い。そして心も。 その夜。 私は佳子さんから教えてもらった携帯に電話を掛けた。 トゥルルルル〜 『もしもし?』 『たっ、滝沢くん?あっ、あの・・・。』 ―つづくー
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