君を守りたい 第6章 stay with me |
2000年12月 しいな 作 |
オレはカンナさんを降ろしたあと、後ろを振り向いた。 ただあいつを誘き出すために翼と山Pにインターホンを鳴らしてもらった。 時間があまりなく、かえってこっちが住居不法侵入とかで警察沙汰になるかもしれない。 ふと、オレは部屋の異常さに気が付いた・・。 至る所に彼女の写真が貼ってあった。 おまけに向かいは彼女の住んでる部屋が見える。 「ストーカーかよ。」 すると、足音が聞こえる。 「なんだよ・・誰もいないじゃないかよ・・いたずらか・・んったく。!!」 まずい!!見られた。 「お前・・滝沢・・。そうか・・お前が!!」 男は、さっきカンナさんが持っていたサバイバルナイフを手に取った。 まずい・・警察沙汰にだけは出来ない。 「お前さえいなければ・・彼女はオレのものなんだ・・。殺してやるっ!!」 「うわっぁ!」 斬りつけてくる。 「待てっていっても聞かないよな。」 危ない状況なのに、オレって自分でも信じられないくらい冷静なんだよな。 オレはベランダまでじりじりと後ずさっていく・・。 やばいかも・・。 「秀くん!!」 彼女の悲鳴が聞こえる。 すると、慌ただしくなってきた。 近所の住人が騒ぎに気づきはじめたのだ。 まさに、オレが斬りつけられそうになった瞬間・・すぐ後ろの大きな木からカメ ラのフラッシュがたかれる。 翼だった。 いつの間にそんなもん買ったんだ、と不思議がっていると・・。 「早く飛び移れよ!」 オレは言われた通り乗り移ろうとした時だった。 あいつが再び襲ってきた。 そのとき、サイレンの鳴る音が聞こえる だけど、こいつは無我夢中でオレを引っ張りベランダに戻そうとする。 再び、翼のフラッシュ攻撃、炸裂!! そのすきにオレはいっぱつ殴って木に飛び乗る。 そのあと、数分後に警察がやってきた。 オレと翼はゆっくりと木から降りた。
※
「で、どうなったんすか?」 私はそのあと引っ越しをして、いま、秀くん、翼くん、斗真くん 、山下くんが 家にきてる。 山下くんがそう聞いてきた。 あのあと、島くんは覚醒剤常用者で何sとかの包みが見つかったのと私へのスト ーカー行為も認めたので警察にご厄介になってる。 「あの、写真さぁ・・よく滝沢くんってわからなかったよね。」 斗真くんは、お菓子を頬張りつつそう言う。 「だって、後ろからだから、撮ったの。わからないやつを送ったんだよ。」 翼くんが撮った写真が雑誌に載ってちょっと話題になった。 (もちろん、偽名でね。) 「そうそう、この少年は誰だってさ。」 秀くんがご飯をついばみながら言ってのける。 「もう、見てるこっちは、はらはらしたのに・・。」 と軽くチョップする。「えいっ!」ってな感じで・・。 他の3人は「おおっ!」とどよめく。何でよ。 「しょうがないじゃん、ああでもしないとさ。でも、何もされなくて良かった。」 見つめられて、そう言われる。ちょっと、ドキドキする。 「珍しいっていうか、滝沢ってそういうの言わないと思ってたけど・・。」 「カンナさん・・ドキドキしたでしょ?」 斗真くんが私を指さす。 うっ!図星。 「でも、また、出てきたら、カンナさん狙われるんじゃないのかな?」 山下くんがそう言う。一気に場の空気を盛り下げる。 私は、ちょっと滝沢くんを見る。 彼はにっこり笑って、 「オレが守るから大丈夫だよ。それに、もう法律も出来てるしさ。」 「うん、ありがと・・」 私は頷く。だって、すっごく説得力がある。 守ってくれるって確信する。 「あーあ、熱いよなぁ。オレも彼女ほしいなぁー。」 翼くんが顔を扇ぐように手をうちわ代わりにしている。 「あれぇ、美果さんはー?」 「振られたの?」 言うやいなや、翼くんは斗真くんの頭をペチンと叩く。 「違うよ。忙しいからなかなか会えないの!」 「翼くん。美果のこと好きなの?」 すると、顔を真っ赤にする。かぁわいい。そしてコクンと頷く。 「私、協力するねー。秀くんのことでお世話になってるから。」 さっそく、呼んじゃおー。私は彼女の携帯に電話する。 「あ、もしもし?美果?」 出ると、私は彼を見る。 楽しそうにみんなと話してる。 いつまでも、こんな風にいられますように・・。 ―FIN―
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