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君を守りたい 第2章
stay with me
2000年12月
しいな 作


「やっちまったよ。間接キスだー。」
オレはスタジオに向かってスキップしていく。
おまけにつき合ってる人いないって!
約束も取り付けたしなー。オレって大胆かも・・。
「何浮かれてんの?」
今井翼が話掛けてくる。
「もしかして、いいことでもあった?顔がにやけてるよ。」
オレはほっぺたを両手で触る。
「うん、間接キスした。」
そう言うと、翼は驚いて近寄って来る。
必死に誰と?と聞いてくる。
「5歳年上で・・、美人っていうよりかわいい人なんだー。」
「ふーん。いいよな。オレも彼女欲しいな。」
「まださ、彼女じゃないんだけどさ。いま、アタックしょうとしてるとこ。」
思わず、バレーのアタックの素振りをする。
「大胆だな・・。」
「自分でもそう思う。」
オレは少し照れて言う。そして、翼に頼んでみる。
「あのさ、今度食事に誘おうと思うんだけどさ。翼、一緒に来ない?」
翼は突然の申し出にびっくりして目をまるくする。
「オレなんて行ってもいいの?お邪魔でない?」
「いきなり2人じゃさ・・彼女も構えなくっていいんじゃないかと思うから」
言ってるオレを翼は強い瞳でじーっと見つめる。
何かついてるかな?と両手で頬をさわってみる。
「ふーん。よほど好きなんだ。慎重だねぇ。OKいつでも言えよ。」
オレにそう言って翼はラジオの収録に向かって行った。
良かった。持つべきものは友達だな・・感謝。と後ろ姿の翼を拝んだオレだった。
後日、カンナさんを食事に誘う電話をした。
もちろん、翼や斗真、山Pも行くと伝えた。
彼女は快くOKしてくれた。ヨッシャー!!



「カンナさんですか?滝沢です。」
滝沢君から、ご飯のお誘い。
もちろん、2人じゃなくてJrの子数人も一緒でって事だったけど。
うれしかった。
「待ち合わせは?わかった。じゃ、あとでね。」
声がうわずっていたかもしれない。
信じられないよ。滝沢くんと食事だよー。
何食べようかなぁ?イタリアン(彼はペペロンチーノが大好きだったよねー。) かな、
それとも・・焼き肉とか・・。ああ、何を着ていこう!!
「誰からの電話?ああ、もしかして、タッキー?」
今、親友の家に来てたんだった。
「うん、食事のお誘い。他のJrの子達も来るって。ねぇねぇ、美果も行かない?」
彼女は沢口美果。親友で会社員でOL。
だけど、仕事もバリバリこなす、キャリアウーマンなんだ。
美人で気配りも出来る。私の自慢の親友。
「私なんて行っていいのぉ?」
「大丈夫だよ。それになんか1人だと心細いしさ・・ね!行こう?」
「うーん・・わかった。お手伝いしますよ。」
わーい。持つべきものは友だよね。心強いわ。
ああ、でも明日仕事手につくかなー?ドキドキするー。
そして、その夜・・寝付けなかった・・明日・・目元腫れてないかなぁ。




「すみません、待ちました?」
滝沢くんは帽子にサングラス。そしてTシャツとジーパン。ラフな格好。
良かった・・。あまり気張らなくて。
私はノースリーブのポロシャツに横スリットの入ったデニムのスカート。
「大丈夫だよ。10分くらいだから、でも、そっちこそ大丈夫?仕事忙しいんで しょ?」
「ああ、今はドラマ終わったから楽ですよ。おーいこっち。」
手招きすると、3人の若い子達が走ってくる。
「カンナさーん。お久しぶりでーす。」
山Pと斗真くん。そして翼くんがやってくる。
目立つなぁ。まぁ、今の時間じゃ若い子もそんなにいないし・・
待ち合わせも綿密に人通りの少ないとこだし、大丈夫よね。
「彼女は?カンナさん。」
「あ・・うん、やっぱり花が1人だと寂しいでしょ?美果!!」
少し離れて違うところを見ていた彼女は振り向く。
仕事帰りの美果は長い髪を束ねてお団子にしてる。
服装はいたって地味なスーツだけどピアスとちょっとしたネックレスで華やか。
まぁ、私なんかと違ってかなり美人さんなんだよ。
「美人さんだねぇ。モデルみたいだね。」
滝沢君が他のJr達に話を振る。3人も見とれてる。
「こんばんわ。ごめんなさいね。こんなカッコで。」
「親友の沢口美果ちゃん。美人でしょう?」
4人は頷く。あ・・でも滝沢くんって美果ちゃんの方が好みだったりして・・。
「いつもテレビで見てますよ。滝沢君に今井君。山下君と生田君。」
4人は恐縮する。(梨本さん状態ですね。)
「じゃ、行きますか。カンナさん。」
滝沢くんにそう言われて総勢6人歩き出した。



「ねぇ・・ここって高くない?」
ここは、お寿司屋さん。まさかJrとお寿司食べるとはなぁ・・。
「ああ、見た目は高そうだけどそうでもないよ。オヤジさんも気さくだし。
それに今日はオレのおごりだから気にしないでよ。」
そうはいわれてもなぁ。お弁当のお返しにしては随分と大きいぞと。
でも、お寿司なんてめったに食べれないし、貧乏根性で食べよう。
しかし、少年達の食欲は凄まじい。
「みんな、すごいね。育ち盛りだもんね。あ・・でもこのあなご美味しい。」
すると、にこにこと滝沢くんが私を見てる。
何か顔に付いてるかな・・?大きい口開けて食べ過ぎたかな?きゃー恥ずかしい。
他の4人に視線を向けると・・おっ!
翼くんと美果が何か喋ってる。
「なんか、いい感じだね。あの2人・・。連れてきて正解かも・・。」
「うん、でも沢口さんはどうかな?所詮年下だし、眼中に無いんじゃない?
18歳のガキだしさ。カンナさんは?年下って気にする?」
えっ?いきなりなんて質問するのー?男の子のほうが若い子が良いんじゃないの?
とか考えつつ・・何て答えよう。
「5歳だよね。気にしないよ。ってなってみないとわかんないかな。」
「そっか、あんまり気にしないんだ・・。ふーん。」
何だろう・・。少しご機嫌だな・・。
だって、すぐわかる。
コンサートとドラマが重なった時期すごく大変そうで・・。
でも、彼はそんなそぶりも見せないで。
でも、疲れてるなぁとかわかるんだよね。
今は充実してるのかな?
それとも・・好きな人でもいるのかな?


―つづく―




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