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君を想うとき・・・ 第14章
we can fall in love
2000年10月
海亜 作


その夜、不思議な夢を見た。
制服姿の滝沢くんが私の前に現れ、こう言う。
『やっと・・・会えた』
そこは学校の図書館らしき場所。
子犬のような訴える瞳の滝沢くん・・・光。
私はそっと包み込んだ。そしてこう呟いた。
『好き・・・』
これは夢なんだと夢の中でも感じたけどそう言わずにはいられなかった。
そして2人は寄り添うように眠る。
まるでラストシーンのように・・・

昼に“魔女の条件”の最終回を見たからなのだろうか・・・
病院のベッドの中に居るからなのだろうか・・・
それとも・・・好きだと言う気持ちを伝えたいからなのだろうか。

明日の今頃には 
あなたはどこにいるんだろう
誰を想ってるんだろう・・・

私は会えなかった間ずっとあなたの事を考えていた。想っていた。
早くあなた会いたい・・・笑顔に会いたい。

今日から仕事の再スタート。
私はお世話になった先生、看護婦さんにお礼を言った。
『ありがとうございました』
『新たな気持ちで頑張って下さいね』
『はい』
力強く頷いた。

病院を後にし、並木道を歩いた。優しい風が吹いていた。
春には満開の桜が花々しく彩られ心を和ませてくれる。
秋は哀愁をおびた葉が見てる人の心を温かくさせる。
冬は身に纏うものがなくなっても何処となく凛と立っている樹木。
そして季節は今、夏。。。
青々と生い茂っている。妖精達が元気に居る。生命力を感じる。
こんなに木を優しく見たの初めてかもしれない。

この神様が与えてくれたとも言うべき休暇で
私は今まで思っていなかった気付かなかった事を知る事が出来た。

人生に無駄な出来事や出会いなんてない。

これは“魔女の条件”の中で光が言っていた言葉。
今回の事は忘れてしまいたい出来事だけど
その後に感じた、得たものは大きかった。
人の優しさ、言葉の大切さ、友情や愛情の有り難さ。そして・・・手の温もり。

雲1つ無い真っ青な夏空。
その中でサンサンと輝いて眩しいくらいの太陽を見上げてこう思った。

太陽って・・・滝沢くんみたい。

ファンの子にとって貴方はそういう存在かもしれない。
でも私にとって貴方は・・・
存在自体が偉大で、どんな事も受け入れてくれそうな包容力。
雨の日も風の日もいつも堂々とそこに在る空のように感じる。

  そして、それからスタジオまでの道のりを急いだ。
着いたのは昼過ぎ。
一週間ぶりのその場所は輝いてみえた。
“今日1日家でのんびりしていなさい”と佳子さんは言ってくれたけど
私は充分過ぎるくらい休みを与えてもらった。
だから仕事をする事を選んだ。
そして何よりも早く会いた気持ちがそうさせた。

You Will always be inside my heart
いつもあなただけの場所があるから

尊敬する佳子さんが居る場所。
愛する滝沢くんが居る場所。
心のオアシス。。。私に潤いを与えてくれる。

私は大きく深呼吸してドアを開いた。

                                  ―つづく―


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