儚き春の光・・・最終夜 hikari akihide story |
2001年7月 海亜 作 |
冬も終わり日差しが柔らかく感じる頃。初春。 コンサートのリハーサル中、時田さんが慌てて部屋に入って来た。 『滝沢くん!NHKの大河ドラマの出演が決まったよ。 これ、詳しい資料だから時間を見つけて目を通しておいて』 そう言って手渡された。 【元禄繚乱】 うわっ!言いにくそうなタイトル(^^; あ、翼も一緒だ〜。なんか安心(^^) そして2年の月日が流れた。 あの事・・・過去にタイムスリップした事をすっかり忘れていた。 **************************** 時は西暦2001年6月。初夏。 毎年恒例のGWコンサートから1ヶ月経ったある日。 時田さんが帰りの車の中で言った。 『明日、雑誌の対談なんだけど、初の試みだぞ』 『えっ?どういう事っすか?』 『ふっふっふっ。ファンの子達数人とのトーク!!』 『まじ?何か緊張するな〜。』 『その人達って・・どうやって集めたんすか?』 『えっ?あ、ほら前にお気に入りのHPがあるって言ってただろ?』 『あ〜ヒデゾークラブ?』 『そうそう。その管理人の人にメール出して。 そしたらかなり喜んでくれてさ〜。って当たり前か(笑)』 『え!まじ?う、、、・・・なんかますます緊張してきた』 『どうして?』 『あ、いや・・なんとなく』 そう言って誤魔化した。 管理人をしてる“ぺこさん”って言う人の手紙の中にこのHPのアドレスが書いてあった。 俺は何無く覗いてみたのが始まり。 掲示板では、ファンの子が色んな事を書き込んでる。 雑誌、テレビの感想はもちろん今日あった出来事等。 それ見て励まされたり勇気付けられたり。 時にはグサっと突き刺さるような事書いてあったり。 でも、どれも暖かい。 直接生の声を聞いてる気がし、色んな面で参考になった。 それが・・実際会って本当の生の声を聞くなんて・・・。 これが緊張せずにいられるかっ!!(叫) しかも!明日! う〜・・・何を話せばいいんだ? 次の日。 雑誌の取材はホテルの一室を借りて行われた。 ガチャ! 『こ、こんにちは。滝沢秀明です』 そう言って頭を下げた。 『う、☆○●◇◆ぁ〜』 みんなはパニック状態なのか? 口はパクパク、目はキラキラ。 『あ、そんな緊張しないで下さい。ね!』 そう言ってニコっと微笑んだ。 『う、うっ☆○●◇◆ひゃぁ〜』 更にパニック上昇(笑) なんだかこの反応が面白く大笑いした。 それにしても・・・みんなと会ったのは初めてなのに 初めて会った気がしなかった。どうしてだろう。 どこかで会ったかな?えっと〜・・えっと・・・。 あーーっ!! その訳が分かった。 平安時代に会った美輪花(みわか)、輝夜月(てるよつき) 蛍の方(けいのかた)、美夏月(みなづき)、久実月(くみづき) ゆう蝉(ゆうぜん)、友壷(ゆうつぼ)、一恵(いっけい) 京の方(きょうのかた)、ゆきの君(ゆきのきみ) ひかりの君(ひかりのきみ) 、あゆの君(あゆのきみ) 紫那式部(しなしきぶ)にソックリだったから。 『そっか〜。そういう事だったのか』 大袈裟な言い方かもしれないけど・・ みんなとは出会うべきして出会う運命だったんだな〜と思った。 前世なんて信じてないけど・・。 でも、もし来世があるなら・・きっとまた出会うだろう。 どんな形で会うか分からないけど・・きっとまた会える。 みんなの顔が急に愛しくなり、しみじみ見た。 そして心の中で声を掛けた。 “久しぶり。また会えたね” それから2時間。 みんなと色んな話をした。 それぞれ自己紹介をし、ファンになった切っ掛けを教えてくれた。 中には5年以上も前からファンって言う人も居た。 最近ファンになってくれた若葉マークの人も。 そして最後に1人1人握手をし、記念撮影をし終了した。 *************************** 今日1日あった出来事を振り返るのが最近の日課。 それにしても・・色んなファンの子が居るんだなぁ〜。 今日、ファンの子と対談をし改めて実感した。 俺・・まだまだだなぁ。 自分自身、今の俺に満足してるわけじゃない。 努力する事、成長する事を忘れた事はない。 でも・・・どこか、ぬるま湯に浸かっていたような気がする。 ファンレターを読んで時々思う事がある。 一体・・みんなは俺のどこが好きなんだろう。 ほんとの性格なんて、きっと知らない・・・。 テレビやコンサートでは明るいタッキー。 だけど・・・本当は根暗だったりする俺。 それに悲しませるような事も・・・した。 でも、それでも好きでいてくれる。 俺は、みんなに何をすればいい? 今日集まってくれたファンの中で1人こう言ってくれた人がいた。 『風邪をひいたら薬飲むよりタッキー!病院に行くよりタッキー!』 そうすると・・あら不思議!っていう感じで治るらしい。 あはは(^^; 俺って・・・医者? でも、俺も逆の立場でそう思う。 ファンの子が頑張って!って言ってくれると頑張れる。 例え、高熱があっても笑顔でコンサートが出来る。 って事は・・・ファンの子は俺の元気の源だな。 俺の歌を聞いてダンスを見て元気になってくれた人 俺の言葉を読んで励まされた人 俺の演技を見て感動してくれた人 俺の未来を期待してくれてる人・・・。 全ての人に言いたい。 「俺・・・頑張るよ。みんなの為、そして自分の為に」 だから、これからも、ずっと見守っててほしい。 そして一緒に成長していけたら・・いいな。 |