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ずっと・・・
Birthday
2000年10月
しいな 作


「何だか、浮かれてるよね?もしかしてデート?」

5年越しのつき合いになる親友が、ニコニコしながら声を掛けてくる。

「おぅ!ってゆうかさ、うちで一緒に飯を食べることになってんだ。
彼女の誕生日なのさっ!」

僕こと滝沢秀明は衣装を脱いで、シャワー室に駆け込もうとする。

「ふうん、じゃ今日は遠慮しとこ。お邪魔虫だし。」

と、翼こと今井翼は気をきかせてくれてるようだ。

「そうしといて、翼くん。久しぶりだからさ。」

ウキウキしてる僕の顔を翼は覗き込む。

「プレゼントは買った?」
「あのなー、ばかにすんなよ。それくらい、買ったに決まってんじゃん!」

翼の肩に手を置く。

「じゃあ、この際、花束でも買ってってあげなよ。」

うっ!!一瞬狼狽える。
待てっ!そんな恥ずかしいこと照れくさくって出来ないっての!
何が言いたいのか察したこいつは、さらに、じーっと見つめる。

「わかった!わかりました!」

この気配り上手め。きっと・・翼の彼女は幸せだよなぁ。



途中、花屋に寄って、店員さんにおまかせして作ってもらった。
そして、マネージャーさんに家まで送ってもらう。
何故か緊張して、僕はインターホンを押した。

「おかえりー!」

満面の笑顔で君が出迎えてくれた。
いつも気付かない僕だけど、少し化粧もしていてかなり可愛い。
思わず抱きしめたくなる。

「あのさ、これ・・。」

くそぉ、照れるっての。///.
きれいにラッピングされた花束を渡す。

「ありがとう・・。秀くん。」

すごく喜んでくれてる。くそぉ、また、抱きしめたくなる。
僕は、手のひらをぐーとパーに、結んで開いてしてる。

「あのね、ケーキは小さいのにして、鍋を豪華にしてみました!」

君は「じゃーん!」と言って、鍋の蓋を開ける。

「秀くんの大好きな、カ・ニ(はあと)」
「誰の誕生日だっての。でも、うまそー!」
「でしょ?いいの。私も好きだから。」

まぁ、いっか!ってことで、僕らは録ってあった先輩たちのビデオを見ながら鍋をつついた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「旨かったー!ごちになりました。」
「いえいえ、どーいたしまして!」

オレは少しドキドキしながら軽く声をかける。 (喉がひっくり返りそうになるけど・・。)

「あのさー!」
「何?秀くん?」

君は皿を片づけながら、返事をする。
うーーん。照れるったら、ない!///
ポケットに入れてた小さな箱を目の前のテーブルに出した。

「ええっ?」
「いやさ・・。喜んでくれると、いいんだけどさ・・。」

小さな箱にリボンをつけてもらった。
姉ちゃんに選んでもらったんだよね。だって、自分じゃわかんないし・・。

「指輪・・。いいの?」

君は、ケースを開けて、僕に向かって聞いてくる。
僕は、君を見つめて、頷く。
すごく嬉しそうに「ありがと、秀くん」と微笑んだ。
その仕草が、可愛くて、今度こそ僕は背後から君を抱きしめた。

好きだよ・・

声に出せず、言葉を飲み込んでしまう。
あーあ、面と向かってなかなか言えない。オレってば、困った奴。

「私・・分かってるから。ずっと、一緒にいようね。」

君は、指輪を左手の薬指にはめる。

「うん・・。」

僕はそう返事をした後、君の正面に回る。
身体を引き寄せて、キスをする。
あくまで、軽くやさしく・・。数秒のことだ。
少し君は涙ぐんでる。
もう一度強く抱きしめた。
いつも、心配かけてゴメン。
寂しい思いをさせて、ゴメン。

だけど、ずっと好きだから、変わらないよ。
そう君に誓うから。

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