恋に気づいた夜 最終章 shooting star |
2000年11月 海亜 作 |
私は返事の代わりに座った。彼の隣に。 『髪切ったんだね。』 『うん。』 『どうして?』 『気持ちをスッキリさせたかったから。』 『気持ち?』 『私・・・ずっと言いたかった事が有るの。聞いてくれる?』 『うん。』 それから今までの事を話した。 髪を切らせてもらえて嬉しかった事、病院で手を握ってくれて安心した事。 仕事を辞めた理由。離れてみて辛かった事etc・・・ そして今まで、ずっと言えなかった事を伝えた。 『私・・・滝沢くんが好きなの。』 言葉と同時に心の中に秘めた物が涙となって流れてきた。 滝沢くんは驚いた顔で私をジーっと見てる。 その視線に耐える事が出来ず、うつむいてしまった。 『アハハ。最近ねぇ〜。私、泣き虫なの。滝沢くんと出会っ・・』 その先は言えなかった。 柔らかい感触が阻止したから。短く甘いKISS。。。 えっ! 突然の事に戸惑い、瞬きもせず見開いてる私。 『俺。ずっと、その言葉を聞きたかった。』 潤んだ瞳で見てる。今度は目を反らさず見詰め返した。 そんな私を見て滝沢くんが言った。 『もう一度キスしてもいい?』 私は返事をする代わりに頷いた。 そして柔らかい感触が・・・長く切ないKISS。。。 それから静寂な時間が流れた。波の音だけ聴こえる。 寄り添った体と繋いだ手が温もりを感じる。 心と体が繋がってるような気がした。 『星って、どうしてあんなにキラキラ輝いてるんだろうね。』 私は普段言えないようなロマンチックな事を口にした。 きっと誰も居ない甘い空間がそうさせたんだろう・・・ 滝沢くんは空を見上げて言った。 『多分・・・自分と逢う星を探しているからじゃないかな。』 『そっか。じゃぁ、逢えた時は流れ星となって側に行くのかな?』 『そうかもな。』 『あっ!だから願い事をするんだね。』 『なんで?』 『自分達が幸せになるから、それを分けてあげるって事。』 『あ〜なるほどねぇ。。あっ!流れ星!』 『嘘?!どこ?』 滝沢くんの指さす方に一筋の光が空を駆け抜けた。 あっ! 『お願い事した?』 『・・・忘れた。突然だったんだもん。。。』 『バカだなぁ〜。でも、俺がしたから大丈夫。』 『えっ?なんてお願いしたの?』 『それは・・・秘密です。』 『ケチぃ〜。』 『だって、言ったら叶わなくなるもん。それでもいいの?』 『う〜ん。。。じゃぁ聞かない!』 滝沢くんの願い事・・・それは私と同じ事かもしれない。そう思った。 『叶ったら言うよ。』 『えっ?いつ?』 『さぁ〜。』 そう言って笑った。優しい顔で。 LOVE 愛の唄 奏でるから 見つけておくれよ LOVE 1人でいい 僕と同じ事で 笑ってよ 今夜 恋に気づいた 明日は 何に気づくだろう 私は恋してる相手が、あなただと気づいた。 これからは・・・愛する相手が、あなたしかいないと気づくだろう。 |